6月8日から兵庫県立美術館で「描く人、安彦良和」展がスタートした。漫画家、小説家、監督、アニメーター、イラストレーターなど多彩な活動をした安彦良和の足跡を追う回顧展である。会期は9月1日まで、その後は9月21日から島根県立石見美術館をはじめ、巡回も予定されている。 2006年にも八王子市夢美術館で300点規模の「安彦良和展」が行われたことがある。漫画の原画展なども複数あったが、今回はまったく違う。展示総数はなんと1400点以上におよび、格段に規模が違うのだ。初出となる画稿も大変に多く、実現に至らなかった企画書など文書類もあって、開発段階の筆致、創作の源泉に迫れるのもひとつの特徴だ。 自宅の物置きに長年しまい込まれていた数々の資料を学芸員たちが発掘し、下書きやラフなど徹底的に精査した成果であると聞いた。展示しきれないほどの量が発見され、その中から選りすぐりのものを並べたという点で、まさに空前