日本でもよく知られている三国志の物語は、司馬氏の西晋により280年に三国が統一されて幕切れを迎えた……。が、それから遣隋使や遣唐使で知られる7世紀の隋・唐まで、中国史の知識がすっぽり抜け落ちている人も多いのではなかろうか。事実、三国志と隋唐時代に挟まれた約300年間の中国は、目まぐるしく王朝が移り変わる動乱の時代だった。 まずは西晋が内紛で崩壊し、中国北部で異民族の小王朝が乱立(五胡十六国)。やがて鮮卑せんぴ族の北魏ほくぎが台頭して5世紀なかばに華北を統一する。いっぽう中国南部は晋の皇族が亡命政権(東晋)を樹立後、王朝が宋・斉・梁・陳と続いた。北族(遊牧民)の北朝と、漢民族の南朝が対峙たいじする「南北朝時代」である。やがて北朝の系統である隋が中国を再統一した。 北方の遊牧民が、漢人と衝突し、融合した時代 ——今年、日本史の世界では清水克行先生の『室町は今日もハードボイルド』(新潮社)が話題