現在、ウェブ上で議論を巻き起こしている水村美苗の『日本語が亡びるとき』について書いてみたい。 この本は、かなり批判を浴びている。仲俣さんのように、水村の物言いや彼女が現代文学に対して抱いている考えに反発する人たちがいることもよく理解できる。 でも、ディテールや水村の書き方をいったん「よこに置いた」上で、水村がどうしてこういう本を書こうかと思ったのか、何をこの本で伝えようと思ったのかということを考えることも大事なんじゃないかな。そうでないと、本を読むということがつまらなくなってしまう。 僕は基本的に著者が伝えてくれることを自分の糧にしたいな、と思いながら本を読むので、今回は水村の本が全体としてどんなことを伝えたかったのか、書いてみたいと思いました。もちろん僕の理解も完璧ではないし、ところどころに穴があるけれど、「少なくともこの部分は受け取った」と思う部分について書きました。5800文字くらい