野菜を工場でつくる。時代はそこまできているのである。熊本県甲佐町にある乙女農園の「畑」は、まさに近未来的の野菜づくりを見せてくれる。安心して食べられる野菜を安定的に供給してくれる仕組み。その上うまいとなったら、こぞって生産に乗り出すに違いない。と思ってしまうのだが、どうやらそんなに簡単ではなさそうだ。工場での野菜づくりの現状と将来性をレポートする。 <うまいホウレンソウで地域活性化を狙う> 熊本市から約20km南にある熊本県甲佐町は、とてものどかな町である。11,000人がこの町に暮らし、水稲、野菜、花きの生産など、農業を主な生業としている。水稲、野菜、そんな伝統的な田園地帯に、日本最大級の野菜工場が出現したのである。乙女農園(株)が運営している野菜工場だ。 まずは概略から説明していこう。施設全体の広さは28,000m2。うち、工場として利用されているのは13,000m2だ。同工場は本圃棟