ぷらっと沿線紀行(38) 徳島発高松行きのJR高徳線の特急「うずしお16号」は、讃岐山脈越えにかかった。夕暮れのJR引田駅。徳島行きの気動車が煙を上げて走り出した早朝の安戸池。釣り人の周りを海鳥が飛び回り、水門の向こうに広がる瀬戸内海に松島が浮かんでいた=いずれも香川県東かがわ市引田で沿線の畑には所々に刈り取られたサトウキビの葉が積まれていた=香川県東かがわ市南野で赤壁が印象的な「かめびし」=香川県東かがわ市引田で高徳線を走行するN2000系(JR四国提供) 源平合戦の折、屋島攻略を目指す源義経が越えたという大坂峠のふもと、11個目のトンネルを抜け、香川県東かがわ市に入ると急に視界が開けた。沿線の畑のそこかしこに、細長い枯れ葉が積み上げられている。サトウキビを収穫した跡だ。ほどなく列車は引田(ひけた)駅に着いた。 高松藩の5代藩主・松平頼恭(よりたか)は、産業振興のため、薬園掛