〈海外SFノヴェルズ〉フェルマーの最終定理の新たな証明に挑む大学生ランジットの波瀾に満ちた冒険と、人類をまちうける驚くべき運命を、英米SF界の巨匠二人が描く。クラークの遺作として話題を呼んだ長篇SF コロンボの大学に通うランジット・スーブラマニアンは、ティル・コネスワラムというヒンドゥー教寺院の僧院長をつとめる父をもっていたが、宗教よりも数学に興味をいだいていた。なかでも、ランジットが熱中していたのが、17世紀のフランスの数学者フェルマーによる最終定理だった。ワイルズの証明よりも、もっと簡潔な方法で証明できるはず、と信じていたのだ。ランジットは、なんとかその方法を探そうと決意していた。 そのころ、太陽系から何光年もの彼方の宇宙では、人類よりもはるかに優れた知性をもつ異星人グランド・ギャラクティクスが、憂慮を深めていた。人類初の原子爆弾の爆発に始まり、つぎつぎと核爆弾を使っている人類が、いず