→紀伊國屋書店で購入 「新しい「教養」のために必読の書」 一気に読み終えた。もう十年近く前の大晦日、小熊英二氏の名著『<民主>と<愛国>』を読んで徹夜したのを思い出すが、それ以来の知的興奮。こちらも500頁を超える大著だが、文字通り「厚み」のある「戦後史」だった。 かつて「革新」の輝ける時代があった。といっても、三十代の筆者には実感がない。その残滓をキャンパスで垣間見た程度。しかし、「幻想」だとしても、当時は「現実」を変え得る「理想」として、大きな力を持ったことは想像に難くない。そのとき学生だったら、どうしていただろうかと考えることがある。 著者の竹内洋氏は、『教養主義の没落』(中公新書)の記憶が鮮やかだ。「読まなければならない本というものがあった」時代から、なぜこうなってしまったのか。「教養」の崩壊の背景には、高等教育をめぐる社会構造の変化があった。その手堅い実証的分析には、目を見開かさ