国内最大のカルスト台地・秋吉台の地下で、神秘的な世界を作り出している鍾乳洞(しょうにゅうどう)「秋芳洞」(山口県美祢市)。洞内に観光客を迎え入れ100年以上が過ぎたが、今春から、足元を照らしたり見どころを浮かび上がらせたりしている照明設備がLED(発光ダイオード)灯に一新された。鍾乳洞の内部照明をすべてLED化するのは国内初の試み。その背景には、従来の照明が洞内に本来存在しない植物を育ててしまう「洞内緑化」という深刻な問題がある。“エコの光”として注目を集める新世代の照明が、環境の保全と観光の振興を両立させる切り札となるか-。(小林宏之) 石灰岩で形成された秋吉台の台上から、しみ込んだ地下水の浸食で形づくられた総延長10キロの秋芳洞。太陽光がまったく届かない条件下で数十万年をかけて作られた特異な環境は、鍾乳石が織りなす奇観、景観だけではなく、「アキヨシシラグモ」「アキヨシマルトビムシ」など