太陽光から隔絶された室内で、LED光を使って野菜をつくる。そんな近未来的とも思える植物栽培法が、現実のものとなっている。前篇では、この発想の生みの親であり育ての親でもある玉川大学農学部の渡邊博之教授に、研究開発の経緯やLED光を使う利点などを伺った。 LED光を植物栽培に利用するうえでは「熱」という大きな壁もあった。だが、その大きな壁も今では乗り越えている。後篇ではさらに、LED光がリーフレタスやチンゲンサイなどの植物に与える影響を科学的視点で見ていく。さらに、植物工場がどのように発展し得るか、渡邊教授が描いている将来像も紹介したい。 発光ダイオード(LED)の照明としての特徴は、赤や青などの単色光を集中的に与えることができる点にある。そんなLEDを使って、野菜などの植物栽培を行ったらどうなるだろう。玉川大学農学部の渡邊博之教授は、前職の三菱化学時代から、実際にLEDを使って植物を育てる試