◆ARIAシリーズを振り返って 前編 ――TVアニメがスタートした10年前のことを振り返っていただけますか? 飯塚 あの頃って『ARIA』のように、何か事件が起こったり敵が出てきたりしない中でドラマを紡いでいく作品は少なかったですよね。 天野 まったくないわけではなかったんですけど、たしかに多くはなかったです。 飯塚 とくにアニメの世界では、余計にそうだったと思います。ですからアニメ化の企画書を作ったときも、過去の参考例がなくて困りました。「これからはこんなアニメが求められるはずです」と訴えてみるものの、上司からは「いつ戦いがあるの?」などと聞かれたりもして(笑)。 佐藤 でも、そんな作品がしっかりと反響を得て、シリーズ化されたってことは、やはり需要があったんでしょうね。 飯塚 前例があまりない作品だったので、放映が始まった頃はどんな反応が帰ってくるのか、不安がないわけではありませんでした