多くの名作を発表した山崎豊子さんが死去。写真は1994年4月、NHK日中共同制作ドラマ「大地の子」制作発表に出席した山崎さん(右は仲代達矢) 「白い巨塔」「大地の子」など数々の社会派小説を発表した人気作家の山崎豊子さん(本名・杉本豊子)が9月29日午前、大阪市内の病院で心不全のため88歳で亡くなった。この訃報は、文壇ばかりでなく多くの人々にショックを与えた。元毎日新聞記者の山崎さんは、綿密な取材に基づいた作品で多くの読者から圧倒的支持を受けた。だが、“鬼取材”を貫くあまり、リアルすぎて物議を醸すことも少なくなかった。そんな山崎さんのとっておきの秘話を公開する。 1924年に大阪市に生まれた山崎さんは京都女専を卒業後、毎日新聞大阪本社に入社。学芸部に所属した。当時の上司が後に作家となる井上靖副部長だった。その井上氏に促されて57年「暖簾」で作家デビュー。翌58年に発表の「花のれん」で直木賞を