「主文、後回しです! 主文は後回しにされました!」 4月22日、広島高裁で公判が行われてた山口県光市母子殺人事件の差し戻し控訴審で、テレビカメラの前に記者が駆け込み、こう叫んだ。 この後、死刑判決が下ったわけだが、ここで少々疑問に思ったことがある。テレビなどではよく聞く「主文後回し」という言葉。そもそも「主文」とは、「懲役○年の刑に処す」などの判決の結論部分のことで、通常はいちばん最初、判決理由を述べる前にまず述べられる。で、「主文後回し」とは、この主文をいちばん最後に述べることで、この言葉が出ることはすなわち死刑判決が下ることを意味するということは、たいていの人なら知っている。 しかし、そもそも死刑の場合に、なぜ後回しになるのだろうか? 「結論部分を先に聞いてしまうと、被告人が動揺してその先が聞けなくなるから」などと一般的には思われている。しかし、死刑でなくとも、動揺が生じる重い判決だっ