「政治とカネ」で大騒ぎする度に、日本は国際政治の流れを見失い、世界から取り残された歴史がある。ベトナム戦争に敗れたアメリカが「反共主義」から脱皮するために産みの苦しみをしている時、日本はロッキード事件の田中逮捕で「政治とカネ」に目を奪われ、アメリカ政治の大転換を正面から捉えることが出来なかった。 戦後のアメリカを支えたイデオロギーは「反共主義」である。第二次世界大戦でファシズムに勝利したアメリカにはすぐに共産主義という敵が現れた。ヨーロッパでもアジアでもソ連の後押しを受けた共産主義政権が次々に誕生し、それがドミノ倒しのようにアメリカに迫ってくると思われた。アメリカにとって共産主義との戦いは「自由」を守る「正義」の戦いであった。 しかし共産中国と戦火を交えた朝鮮戦争でアメリカは勝つ事が出来なかった。そのトラウマがアメリカをベトナム戦争に駆り立てる。ところが正義と信じた戦いでベトナムの民衆を敵