★加島卓『〈広告制作者〉の歴史社会学――近代日本における個人と組織をめぐる揺らぎ』(せりか書房、2014/02、ISBN:4796703306) 「広告」や「デザイン」といえば、今日あちこちで目にするし、なんの気なしに使われている言葉だ。でも、ちょっと立ち止まって考えてみると、じつは思ったほど(どんなほどだというのはおいといて)分かりやすい言葉ではない。ほら、そのつもりで歴史に目を向けてごらん…… そんなふうにしてページを繰ると、巻頭からこの問いが、さらに思った以上に込み入っていることが垣間見えてくる。加島さんは言う。 日本社会において「デザイン」は「広告」との関係でいろいろと意味付けられてきた。またその過程において、デザインの専門性を主張することは広告制作をいかなる職業と見なすのかという動きと深く結びついていた。しかし、広告やデザインに関する書籍の多くはこのような試行錯誤にはあまり関心を