親の介護をきっかけに生活が激変する人がいます。千葉・房総半島に暮らす女性もその一人。リタイヤして故郷で暮らす両親を介護するため都会を離れましたが、両親をみとった後、女性を待ち受けていたのは、蓄えを使い果たして職もない孤独な老後でした。亀田総合病院(千葉県鴨川市)で長く在宅医療に従事し、現在は在宅医療専門「みその生活支援クリニック」の院長を務める小野沢滋医師が、超高齢社会に潜む医療、介護のリスクを紹介します。【毎日新聞医療プレミア】 ◇故郷に帰り脳梗塞になった父親 今から10年ほど前、千葉県南房総のある町で長年、私たちが訪問診療を担当していた認知症の男性患者さんが亡くなられました。男性の介護は、長らく娘さんがなさっていました。訃報を聞き、私たちがお悔やみに伺った際の娘さんの言葉を私は今も忘れられません。 私たちが、男性の訪問診療を始めたのは、介護保険制度が導入される前の1990年代半ば。剣道