サブカル系雑誌の編集者女史と僕は、遊歩道をひたすら歩いていった。アスファルトだった道は、途中から砂利道になった。かなり坂道もある。樹海に入ったのは午前中だったが、警察を待つ間に14時を回ってしまった。樹海は日が落ちるのが早い。すでに薄暗くなってきている。 入り口から30分ほど歩いたが、宗教施設らしい建物は見当たらない。具体的な情報は、レストラン「ニューあかいけ」(編集部注:筆者が樹海を訪れる際によく訪れる精進湖近くのレストラン)のおばちゃんの証言だけなので、かなり不安になってくる。 「本当にあるのかなあ、そんな施設」 「あると信じましょう! 信じればきっとありますよ!!」 そんな不安な会話をしながら進んでいると、道が二股に分かれていた。 そして片側には、工事現場などでよく見るバリケードフェンスが建てられていた。普通なら「安全第一」と書かれたボードが掛けられている所に「乾徳道場」と書かれた木