--そもそもなぜ應典院(おうてんいん)は葬式をしないのですか 秋田 「葬式仏教」というレッテルがお寺本来が持つ可能性を阻む大きな障壁となっていると考えているからです。 --その思いが應典院再建のきっかけにつながっていくのですか 秋田 30代でお寺の社会に入ったものの、日本の仏教に非常に絶望した時期がありました。お寺といえば「お墓、葬式、戒名」の3点セット。日本人はそういうものを入り口にしながら死者と向き合ってきた面もあり、決して悪いことではないと思っています。ただ、当時はバブル期で、都心のお寺が地上げされたり、オウム真理教が注目されたりしていて、「寺とは何か」と考えるようになりました。 --そこから見えてきたものは 秋田 アジアの仏教国のタイやミャンマーを訪れ、仏教には、街を作り直す、一つの生き方を変えていく力があるんだと、当たり前のことに気づかされた。そして、伝統という名の既得権にしがみ