2008年発行の集英社新書『新・都市論TOKYO』では、汐留、丸の内、六本木ヒルズなど、都心の超高層再開発への取材から、21世紀東京の行き詰まる現状を提示した。 世界同時不況、石油エネルギー危機、格差の拡大。東京の未来は安泰ではない。都市にかかるプレッシャーは今後も重くなる一方だが、それらは、超高層再開発という20世紀的な手法では解決し切れないことが、前回のサイト・ハンティングで明らかになった。 人々は、時代のプレッシャーから日本人と都市を解放する、次のきっかけを求めている。そのきっかけこそが「都市」の対極にある「ムラ」である。 「ムラ」とは単なる前近代の共同体を指す言葉ではない。「ムラ」とは、固有の場所であり、多様な生き方と選択肢のよりどころであり、人が存在する価値を「エコノミー」ではなく「ライフ」に振り戻す境界地のことである。そして21世紀においては、最先端の感性とネットワークが集まる