池本美香編『子どもの放課後を考える―諸外国との比較でみる学童問題』では冒頭に、「かつては、在校時間外の自由な時間に、家庭や地域社会において、子どもは人格形成や情操教育につながる様々な体験をしていた」との問題提起がある。つまり、日本でも従来は家や近所で大人の手伝いをすること、地域や団地のような場所でさまざまな年齢の子どもと交流すること、自発的な遊びや自然体験などができた。 が、昨今では「女性の就業の増加で地域活動の担い手が減り、都市化とともに自然の空間が減り、モータリゼーションとともに交通事故や犯罪の不安も高まり、子どもが社会を体験できる機会が制約されつつある」。つまり、大人がついていないと危ない環境が増えるなか、共働き世帯が増えることでその「大人」の確保も難しくなっている。 そこで、この本は「家庭や地域社会といった“学校外”での子どもの教育機能が低下するなか、この学校外教育の機能を再構築す