俺は自分が異常独身男性という自覚がある。 彼女いない歴=年齢、特定の友人もおらず、女性に相手されたことも無い。 明確な定義がある訳では無いが、その自覚がある以上、俺は異常独身男性なのだ。 今回はそんな俺が巻き込まれた、ある事件について書こうと思う。 とある"視線"を意識し始めたのは、街中に寒風吹き荒ぶ12月の暮れだった。 俺は仕事で疲れた体を癒すべく、湯船に浸かっていた。 寒さで強ばった体がじんわりとほぐれていく感覚を抱きながら、どこを見るでもなくぼうっとしていると、ふと、背中に何かを感じた。 それは視線だ。いるはずのない何者かに見られているような心持ちで、自分の意識が自然と後ろに向いてしまう。 俺は背後を振り返った。すぐ後ろには樹脂パネルの壁があるだけで、勿論誰もいない。 気のせいだ。よくあることだと、そのときは思った。例えば、何か良からぬことをしている時。 あまり褒められたことをしてい