『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』に、少しだけ開いた廊下の窓から顔を覗かせる鎧塚みぞれと話すときに、黄前久美子がその窓を全開にするという描写があった。 みぞれは久美子を「窓を開けるのが上手い」と評する。これは単に、リテラルに、窓を開けようとしてもつかえてしまうほど非力なみぞれに対して、久美子はそこそこのフィジカルを持っていると読み取ることもできる。 しかしこの「窓」が同時に「心の扉」の象徴でもあることは流石にまったく見過ごせるものではない。久美子にはもともと他人の心にずかずかと踏み込んでいく才能があって、基本的にはそれが『響け!』シリーズの物語を駆動させる。しかし「力がある」だけでは人間関係はうまくいかない。久美子は様々なコンフリクトを経て、「窓」を開ける「力の加減」を身につけた。 みぞれは、そういう様子を総括して「窓を開けるのが上手い」という言葉にしたのだろう。新