「なにもかもが違っていたんです」 過酷な山岳レースを終え、十分な睡眠をとってもなお、ぎこちなく軋む体を椅子に沈めながら、望月将悟はそう話し始めた。 富山湾から日本アルプスを経て、静岡市大浜海岸にいたる約415kmの道のりを、自らの足だけで踏破する『トランスジャパンアルプスレース』。日本一過酷な山岳レースといわれるこの大会で、4連覇中だった望月将悟は今年「無補給」という新たなルールを自らに課した。 ルールで認められている山小屋や麓のコンビニ、自動販売機などでの飲食物の購入を一切断ち、スタートからすべての荷物を背負って進むという、前代未聞の挑戦だ。 結果は、完走タイム6日16時間07分、7位。自身の持つ大会記録(4日23時間52分)には及ばないものの、見事にゴールを果たした。 望月に今回のレースを振り返ってもらうと、こんな言葉が返ってきた。 「走りはじめてすぐに、こんなはずじゃなかったと思いま