手からビームを放つ姿や人間離れしたダンスシーンだけを見て、「キムタクが如く」などと笑っているのは間違いだ。 なぜなら『LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶』(以下、『ロストジャッジメント』)は、「イジメ」という、きわめて繊細で、表現の方法論としても困難と言える事象を軸にし、前作よりもさらに踏み込んで「正義」を描くことにチャレンジしたド級の社会派サスペンスゲームだからだ。 これは後述するようにビデオゲームではほぼ真正面から描かれたことのない困難な題材であり、ましてAAA級のタイトルを例に考えればおそらく初の試みだろう。 文/悲野ヒコ 編集/ishigenn 舞台や時代背景を発売年に合わせて形作る、「龍が如くスタジオ」のこだわり 本作を語るにあたって、どうしても外せない要素がいくつかある。まずはこの作品が、2018年に発売された木村拓哉主演のリーガルサスペンスアクションゲーム『JUDGE