付喪神(つくもがみ)をご存じだろうか。箸や椀、杓子、楽器など、工業製品の妖怪だ。長く使われていた道具には魂が宿ると言われており、現在でも針供養などの風習が残っている。付喪神が登場したのは鎌倉時代だ。平安末期の『今昔物語集』にもよく似た怪異が登場するものの、工業製品の擬人化というレベルには至っていない。付喪神の人気がピークに達するのは室町時代で、百鬼夜行絵巻にそのユーモラスな姿が描かれている。 妖怪学者・小松和彦は、鎌倉時代における経済の変革が付喪神を生んだのではないかと指摘している。鎌倉時代には街道の整備が進み、商業が活発化した。工業製品が一般庶民にとって身近なものになった。当時の農村の人々にとって、工芸品は不思議なものだったに違いない。自分たちには作り方の分からないものが大量に流れ込んできたのだ。そこに何かしらの神秘性を感じとり、付喪神というアイディアが膨らんでいった。 TVアニメーショ
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