――カナタ達のいる大陸の北部、人類の踏み込まぬ魔物の世界。 その奥地にある巨大建造物《神の腕》。 中には三つの人影があった。 王座に座る仮面の男《世界王ヴェランタ》。 魔術式の刻まれた布に身体を隠す《沈黙の虚無》ことゼロ。 そして三メートル近い背丈を持つ、甲冑を纏った悪鬼のような男《第六天魔王ノブナガ》。 彼ら三人は、上位存在が世界ロークロアを制御するために作った組織である《神の見えざる手》の《五本指》のメンバーであった。 「この世界を揺るがす珍事が起きているらしいということは理解しておるが、こうも頻繁に呼び出されるとな。何か進展があったのか、ヴェランタよ。そろそろ動けということか? また意味のない報告を聞かされるのはごめんだぞ」 ノブナガがやや苛立ったようにそう口にする。 上位存在と交信を行っているのはヴェランタのみである。 大抵の場合は大きな問題が起こったとしても、ヴェランタか、世界全