将来を担う子どもたちを支える保育士の待遇が問題視されている。背景には、近年、「待機児童解消」の名のもとに進む保育の民営化がある。利益を追求するあまりに人件費が削られていないか。ジャーナリストの小林美希氏が現場を徹底取材した。 【図表で見る】国の想定より現実は低い保育士の賃金 * * * 「会社の方針はコストカット。保育士も子どもも、きちんと処遇されていなかった」 保育所を運営する大手の株式会社に就職した足立恭子さん(仮名、27歳)は、「大手という看板に騙された」と、すぐに後悔した。 待遇は思いのほか悪かった。3年目でも月給は手取り17万円。ボーナスは年間で基本給の0.5カ月分しか支払われなかった。退職金制度もない。毎日、約2時間は残業したが、残業代は月に5時間分までしか申請できなかった。年収は250万円程度と薄給。 配属された認可保育所では、1年のうちに半数以上の保育士が辞めていく。す