あなたの信じた「物語」って何ですか? 陰謀論に陥ったことのある人たちに聞いてみた 「社会への違和感」「よく分からない正義感」 「ディープステート」や「人工地震」などの陰謀論は、インターネット上の不正確な情報に依拠し、事実に基づかないものが少なくない。一方で、陰謀論は極端に脚色され、現実と虚構の境目を見えなくさせる「魅力」を持った物語でもある。 人々は、どういった物語に引き寄せられたのか。陰謀論に陥り、抜け出した経験のある人や、根拠のないうわさに巻き込まれた人から話を聞き、その深層を探った。(敬称略、共同通信=佐藤大介) ▽「評価されない」不満を解消 2020年の初めごろ、東京都内に住む映画監督の増山麗奈は、インターネット上に現れる文章に目を引かれた。「ハリウッド俳優や秘密組織の構成員が、若返りのために人肉を食べている」。血だらけの人の写真や動画も目にし、悪魔的な秘密組織が世界を陰で牛耳って