集中講義の三日目は、根津の駅から小田急線直通に乗り、下北沢へ。地上はあいかわらず若者たちでごった返しているが、地下へ降りると別世界のような大人の空間。本格的な板前割烹の店として太田和彦も絶賛する、「楽味」である。 店はほぼ満員で、ちょうど出てきた男性客と入れ替わりでカウンターに座ることができた。入って右側がカウンターだが、その一部が奥の方に大きく突き出し、テーブルのように向かい合って座れるようになっている。左側にはテーブル席。客の平均年齢は高く、むしろ私など若輩者の方だ。まずは生ビール(サッポロ)を。走りのサンマ刺しを注文しようとしたら、あいにく売り切れとのこと。代わりに大振りの鰯刺しを薦められ、少し迷ったが、店主の提案どおり、鰯刺しと鰺刺しを半人前ずつの盛り合わせでもらうことにした。なかなか気が利いている。酒は麒麟山、萬寿鏡、銀盤など。狭い店内は、簡単に見渡すことができる。 今日の客は、