織田作之助の「夫婦善哉」という小説の続編の原稿が見つかった、というニュースを先ほどテレビで見た。今年の秋くらいに、本になるらしい。 実は、最近、織田作之助の「世相、競馬」と題する文庫本(講談社文芸文庫)を買ったばかりであった。 本題からは逸れるが、小説をあまり読まない私が、織田作之助の本を買った理由は、山村修「書評家<狐>の読書遺産」(文春新書)という本を読んで、興味を持ったからだ。ペンネーム<狐>の書評は、対象の本を是非読んでみたいという気分にさせるし、味わい深くて、実に素晴らしい。正直なところ、今まで私が雑誌や新聞に書いた書評が恥ずかしいと思えるような素晴らしい文章が並んでいる。著者は、故人であり、まことに惜しい人を亡くしたと思う。もっとも、多少の言い訳をすると、「これは読むことが苦痛だ」というような稚拙な文章の経済小説(講演料の高い大家の作品なのだが)の書評などを求められて来たので、