小野善康・大阪大特任教授 長期の経済停滞による税収不足で政府財政は赤字続きである。日本の累積赤字は1千兆円を超え、国内総生産(GDP)の2倍以上で世界最悪、政府資産分を差し引いた純負債額の対GDP比率もギリシャに次いで世界2位である。これで日本経済は大丈夫か。この問題を考えてみよう。 国債残高が巨額になると、人々は国債の元利を受け取ることができるか不安になろう。実際、民間銀行も家計も国債保有高を減らしており、買い続けているのは日銀だけだ。財政の赤字体質が変わらずに不安がどんどん膨張すれば、いつかは大量の国債が売られて国債価格が暴落する。 現在、民間銀行は300兆円の国債を保有し、生保なども含めれば500兆円になる。さらに膨らんだ段階で暴落すれば、資産価値が激減し、銀行が破綻(はたん)するから、日本経済は大変だと言われている。 しかし、以下に述べるように、銀行は破綻しない。それでも家計や生産