おもちゃというか、元々は俺の服なのだが、ある日出しっぱなしにしていたものを見つけて遊んでみたら気に入ったらしい。 シャカシャカした素材が面白かったのかもしれない。 まだ一度も袖を通していなかったけれど、あまりに嬉しそうなのであげたものだ。 同じく飼っている他の子と比べ、ほとんどおもちゃで遊ばない子だったが、そのおもちゃと化した服だけは飽きもせず、毎日毎日振り回していた。 そのお気に入りのおもちゃが捨てられた。 捨てたのは親だ。 ADHDの特性を持っている。 衝動的で、自分の言ったこと、やったことをあまり覚えていない。 時折発作的に物を捨てたくなるらしく、きちんと確認もせずゴソッと大量に処分しては、必要なものも混ざっていたことに後で気付く、というのをよくやっている。 自分のものだけでなく、共有スペースも対象になり、一時期は俺の部屋も標的になった。 学校から帰ったら部屋から物があれもこれもなく