宇佐見りん(うさみ・りん)作家 1999年、静岡県生まれ、神奈川県育ち。現在大学生。2019年に『かか』で第56回文藝賞を受賞をしデビュー。同作は2020年、第33回三島由紀夫賞を受賞。 推しへの愛情、「一方通行」だからいい ――推しについて世の中で理解されていないと感じたのが、執筆の原動力のひとつだったそうですね。 まず、「推す」というのは、芸能的な活動をする人をファンが応援すること。そして「推し」は、ファンが応援している人を指し示すときによく使う言葉です。ジャニーズ、宝塚、地下アイドルに地上アイドル、今で言えばYouTuberもそうですね。「推し」という言葉も、その感覚も、私と同じ年代の子たちには通用することが多いのですが、世間的にはまだその実態が理解されていないように感じたのが、書いたきっかけのひとつです。たとえば、「推しを推すこと」が恋愛の下位互換や趣味の一環として捉えられている。
芥川賞受賞『推し、燃ゆ』の宇佐見りんが語る「“推し”と“癒し”の関係」 恋人とも家族とも違う、推しという存在 芥川賞を受賞した『推し、燃ゆ』の著者である宇佐見りん氏へのインタビューをお送りする。 「推し」という概念 ―芥川賞受賞で一躍話題となった本作『推し、燃ゆ』。この物語は主人公の女子高生・あかりの「推し」ているアイドルがファンを殴り、炎上するところから始まります。「推し」や「推す」は最近の言葉だと思いますが、「ファン」とはどう違うのでしょうか? ファンというのは、スターや芸能人を応援する側の言葉です。追っかけや親衛隊もそうですよね。 それに対して「推し」は、応援される側を指す言葉で、アイドルの世界で使われていたようです。「私のいち推し」という意味での「推し」で、彼らを応援することを「推す」と表現します。 「推し」という言葉が独特なのは、潜在的に「私の」という所有格が付いているところ。「
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く