●タイプフェイス・デザイナーの時代へ 1969年に写研から文字盤が発売された「タイポス」は、従来の明朝体・ゴシック体・筆書系書体とは一線を画したデザイン性の高い斬新な印象の書体で、当時の印刷物に爆発的に使用されました。このタイポスの大成功は、「書体をデザイナーが作る」という新しい概念をもたらしました。 同年、写研は創業者である石井茂吉氏の書体制作に対する功績を記念するとともに、新しい文字の創作を願い、「石井賞創作タイプフェイス・コンテスト」の設立を発表しました。その趣旨は以下の通りです。 ・新感覚のタイプフェイス作品の発表 ・タイプフェイス・デザイナーの新人育成 ・タイプフェイス・デザインに対する世の関心を高める (石井賞創作タイプフェイス・コンテスト 作品募集ポスターより) このコンテストには締切の1970年1月末までに118点の応募があり、同年4月に第1位である「石井賞」が決定、5月1