制服のまま大宮公園野球場にやって来て、外野席の芝生に腰かけた。埼玉大会準決勝の昌平-春日部共栄戦をひとり眺める。 「引退して、同級生が野球やってる姿に悔しいなと思ってしまうんですけど、遠ざけたいけど、こうやって高校生の目線で見れるのって人生で最後なんで、目に焼き付けたいなって」 1回戦で浦和実に0-7で敗れた。自身は「3番三塁」で2安打。「もっとボロボロかなと思ったんですけど、やりきれたんで」と涙はほとんどなかった。野球は続けない。「自分、就職しようと思ってて。今日も午前中は就職関連のことがあって制服なんです」。 この日で最後の夏を終えた春日部共栄・本多監督は“県営”と呼ばれる同球場での思い出を「多すぎて分からない」と笑った。一方、板谷は県営でのプレー経験は1度もない。1つの試合にもいろいろな物語。 「就職して頑張ります。高校の監督さんには礼儀をできてから野球のことを教えてもらったので。学