英語より落語を覚えた 高校一年の初夏、一学期の終わりに成績表に書かれた教師の寸評をよく覚えている。 「落語を覚えるのと、英単語を覚えるのと、どちらが大変なのだろう」 わりといい時代で、いい高校で、いい先生だったから、指導色がうすく、なにやら詩のようであった。 担任は英語の教師である。 わたしは落語研究会にいた。サッカー部にもいたのだが、落研のほうが目立っていたのだろう。クラブ活動と勉学の両立について何か言ってるようであり、英語教師として英語にも力入れるようにそれとなく諭しているようであった。 どっちとも取れる。 こういう言葉は心に残る。 落語より英単語を憶えたほうが良いとおもう、とストレートに言われたら、すぐさま忘れている。 言葉の力はそういうものらしい。 高校に入って、まだ15歳だったこのころ、たしかにどんどん落語を憶えていった。 中学三年のときに笑福亭仁鶴の落語が大ブームになって、それ
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