素晴らしい小説を読んで、落涙もしくは号泣した経験を持つ諸兄も多いことと思う。「今夜、すべてのバーで」もそんな小説のひとつだ。もし心が乾いているなら、潤せる一書と言えよう。 〜落涙はβエンドルフィンで精神浄化。泣きたい時に読む本〜 あの今は亡き奇才・中島らもの、吉川英治文学賞を取った、まさに隠れた名作といえる純文学作品だ。ユニークでひょうきんな彼の生前の「表」の顔からすれば、意外とシリアスであると思われかも知れない内容だ。 しかし、彼の「裏」と言うよりむしろ「本当」の顔・・・アンダーグラウンドでエキセントリックな中島らも本来のキャラクターからすれば非常に彼らしいと私には思える。 この小説の前半はシニカルな乾いた雰囲気を漂わせながらも、知らず知らずの内に血の通った人間を描き、掘り下げてゆく紛れもない良質の文学作品だ。 Sponsored Link Advertising 純文学とはいえ、持ち前