文・佐久間裕美子 「I didn’t kill newspapers, OK?」。2009年にインターネット界のアカデミー賞ともいわれるウェビー賞を受賞したときの、アリアナ・ハフィントンのスピーチである。 今年2月にAOLが約3億ドルで買収することを発表し、メディアの世界のトッププレイヤーとしての地位を固めたハフィントン・ポストがスタートしたのは05年。ブロガーたちが存在感を拡大しつつ、主要メディアがインターネット戦略に苦戦し、「インターネットは金にならない」という考え方がまだ主流だった。 またネットの政治系ニュースおよび言論サイトが「ドラッジ・リポート」をはじめとする右派、保守派に偏っていた時代でもあった。ネットのみのメディアが生き残れるのか、左派のアジェンダがどう受け止められるのか、懐疑的な見方は強かった。冒頭のスピーチの真意は謎としても、同年、調査報道を支援する非営利基金を設立し