『ピングドラム』は地に足のついた幸福を探す物語だったと思う。 一歩間違えれば、「運命」の名の下に「こどもブロイラー」に行くことや、歪んだ大人になることを強いられる「氷の世界」。その根本的原因である「呪い」は、完全に振り払う事はできない。過去にあった事や、現在たしかにそこに「ある」ものを、無かった事にはできないのだから。 しかし最終話を観た後、「呪い」の存在が皆の不幸を確定させてしまうとは限らないのではないか、運命の果実を分かち合う相手さえいれば、「呪い」による「罰」さえも、笑って乗り越えていけるものではないかと思えた。 『ピングドラム』は3月の震災を受けて、作品内容の方針転換があったらしい。元々計画されていたのは「もっとエッジの効いた見せ方」だったとか。正直そちらも気になるけど、結果的にこの形に落ち着いた事は、この作品に大きな独自性を与えたと思う。エッジの効いた見せ方から、優しい見せ方へ。