2021年9月20日のブックマーク (1件)

  • 肉屋の娘だった、母のこと - あめゆきをとって

    私の実家は、地元では名の知れたコロッケ屋だった。 過去形なのはとうの昔に店を畳んだからで、店主だった母も、父も昨年相次いで亡くなった。 そのコロッケ屋は、元々は精肉店であった。 八幡神社近くの小さな店で、母が朝から晩まで切り盛りした。 父は、テーラー職人だったらしい。 らしいというのは、父が服を縫っているところを、一度たりとも見た事がないからだ。 二階の物置部屋で、黒のジャノメミシンとトルソーと洋裁道具が埃をかぶっていた。ベルト式の足踏みミシンはとても大切なものらしく、触ると父に酷く叱られた。 しかし、仕立ての仕事は全く来ない。父は昼間から酒を呑み、ぶらぶらと遊び歩いた。 手に職も学もない母は親きょうだいに頼り、実家の家業である肉を商って三人の子を養うしかなかった。 父はますます不貞腐れ、肉屋の仕事を一切手伝わなかった。それだけでなく、何かと実家に頼る母が憎くて仕方ないのだった。 最初の頃

    肉屋の娘だった、母のこと - あめゆきをとって
    ameyujutote
    ameyujutote 2021/09/20
    みやごべん難しい‥