Improvised Music from Japan / Yoshihide Otomo / Information in Japanese 音楽に世界を解放する力なんてあるのだろうか? だいたい何を解放するのか? 音楽はかつて運動だった。連帯だった。横ノリのヴァイブレーションに反戦と反体制を謳歌した60年代末。縦ノリのビートに体を痙攣させ社会に唾を吐いた70年代末。20世紀後半の始まりはジャズ、フォーク、ロックを含むサブカルチャーの存在そのものが政治的ですらあった。80年代に入るとウォークマンの登場とともに音楽が個の所有物になっていく。そこにあるのは横ノリの連帯でも、縦ノリの運動でもなく、個の嗜好をたよりに社会をサバイバルするオタク的な感性だった。音楽から政治の匂いは消されて行く。陰影ある歌謡曲はこの時ほぼ死滅する。さらに時代は進む。90年代にはいると、強大なPAとサブウーハーにより、