今年7~9月期の実質国内総生産(GDP)改定値が年率換算で1・9%減となり速報値の1・6%減を下方修正した。設備投資や公共事業が予想したほど伸びなかったためだ。 景気のもたつきが深刻であることを、はっきりと示した数字である。 アベノミクスが争点となる衆院選で、与党は企業経営や雇用の改善などを例示して「この道しかない」と訴えている。 だが結果がこの数字では、実績も説得力を欠く。政策効果に誤算があるなら、現実を検証し、改善すべき点を明確にすべきだ。 その上で地方や個人に経済再生の恩恵が及ぶ具体的な処方箋を約束するよう、与野党で論戦を尽くしてほしい。 折しも麻生太郎副総理兼財務相は遊説で、「企業は大量の利益を出している。出していないのは、よほど運が悪いか、経営者に能力がないかだ」などと語り、野党の批判を招いた。与党に求められるのは、批判に応える真摯(しんし)な姿勢であり、効果的な対処の方策だ。