ブックマーク / magazine-k.jp (14)

  • 出版ジャーナリズムの火を絶やしていいのか

    1949年の創刊以来、出版界が置かれている状況を刻々と報告しつづけてきた「出版ニュース」が2019年3月で休刊することが決まった。また『出版年鑑』も今年8月に出た2018年版で終了し、2019年版は刊行されないことも出版ニュース社のサイトと「出版ニュース」11月下旬号で正式に告知された。 「出版ニュース」は1949年に日配(日出版配給株式会社)の解体に伴い独立した出版ニュース社が刊行する旬刊(月三回刊)の雑誌で、戦時下の出版流通を担った統制会社である日配時代に刊行されていた「新刊弘報」「出版弘報」の流れを組む。また当初は博報堂が出資者となっていたが、現在はそのような資関係はないという。 日配時代には戦時下の物資窮乏のため、書籍が完全買取・買切制になった時期があった。「出版ニュース」の前身「出版弘報」は、そうした時代に販売店(当時すでに1万5000軒あったという)がの現物を見ることなく

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    amy385
    amy385 2018/12/03
  • 編集を経なければ、文学は存在できない

    第8信(藤谷治から仲俣暁生へ) 仲俣暁生様 先日、仲俣さんから依頼された、「NovelJam」というイベントの審査員をやりました(実は「先日」どころではなく、これを書いている僕にとってはつい昨日のことなのですが)。 参加費を払って集まった数十人が、その場でお題を与えられ、2泊3日で短編小説を仕上げるだけでなく、それを電子書籍として販売すらする、という、まあ乱暴といっても過言でない、べらぼうなイベントです。2泊3日の3日目には僕たち審査員が朝から審査を始めるのですから、参加者には実質1日半ほどしか「小説の制作」には充てられません。 しかもそれはあくまでも「小説の制作」です。これが「執筆」ではないところがまた、このイベントの興味深くも暴力的な特徴です。参加者にとって「執筆」は、目的達成ではなく通過点でしかありません。彼らは執筆した小説を編集し、表紙(電子書籍でも「表紙」というのかどうかは知りま

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    amy385
    amy385 2018/11/28
  • 技術書典は“エンジニアたちのコミケ”である « マガジン航[kɔː]

    (注:この他に2017/4/29~4/30にかけてニコニコ超会議との共催で「超技術書典」が開催されている) 筆者は初回技術書典から第5回まで連続してCAS電子出版というサークルで出典すると共に、第2回と第5回には企業スポンサーとしても支援しています。ここではサークルとして出典した経験を報告するとともに、技術書典の市場性・優れた点についてまとめてみます。 これまでの開催状況と出典をふりかえる ■技術書典(初回)[2016/6/25 開催] 技術書典という催しが開催されることを知ったのはTwitterからでした。筆者は、2015年末からCAS電子出版ブランドのプリントオンデマンド出版を初めており、ちょうどこうした機会が欲しいと考えていましたので、すぐに申し込みました。自分で書いた『PDFインフラストラクチャ解説』というをアマゾンなどのオンライン書店で販売していましたが、オンライン書店では実際

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    amy385 2018/11/05
  • 読書専用端末の時代は終わったのか

    先月の終わりに、電子出版ビジネスの草分け的存在であるイーストの下川和男さんから、古くなったり壊れたりして使えなくなった電子書籍端末を肴に語り合う会、名付けて「昔の読書端末放出放談会」にお誘いいただいた。 ちょうど「マガジン航」で西牟田靖さんが、亡くなられたノンフィクション作家の蔵書の形見分けについての記事を書いてくれた直後だったこともあり、「紙の」と「電子の(こちらは端末のみで中身は読めないのだが)」それぞれの最後の身の処し方について考える機会になると思い、参加した。 この会に持ち込まれた端末は、どれも基的に動かないジャンク品である。アマゾンのKindle DX(初期の大画面タイプ)やバーンズ・アンド・ノーブルのNook(やはり初期型)、ソニーのReader(北米版のやはり初期型)といった比較的有名なものから、オランダのiRex Technologies(バーンズ・アンド・ノーブルに

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    amy385 2018/09/03
  • ジャーナリスト・惠谷治さんの死と蔵書大頒布会

    引っ越したアパートの床が蔵書で埋まってしまった——というシーンから始まるエッセイ『で床は抜けるのか』をサイトに掲載したのが2012年。それ以来、蔵書をめぐるルポを書き続け、2015年には同名で書籍化、2018年には文庫化された。この連載や書籍の印象から、僕のことを“蔵書問題ライター”だと思っている方は多いかもしれない。 しかし、それは僕の一面でしかない。かつて「日」だった国や地域、日の国境の島々を回る、旅系・辺境系のライターとして僕のことを認識している読者もいるだろうし、僕自身、どちらかというと、そのように自負している。 今回の記事は、その双方の要素が入り交じっている。旅系・辺境系ライターとしての僕が最も憧れるジャーナリストの死とその蔵書の行方について記してみたい。 惠谷治さんはロシア革命を成し遂げたレーニンさながらの強面な風貌と、細かな分析による北朝鮮論評、アフリカやアフガニスタ

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    amy385 2018/08/27
  • 出版流通はなんでもありの変革期を迎えた

    「頭脳」がない。あるのは「身体」だけである。日の出版業界のことだ。 出版界が「業界」、すなわち、経営的に回っている状態にあるか、と言われれば、それは「否」と答えざるを得ないだろう。1996年以来の売上高の減少に対し、無為無策のままで進行していることがその証左である。曰く「出版は文化的事業であり、他の業界とは違う」。ええ、他の業界の人も「自分の業界は他と違う」と思っていますよ。 もはや業界として一般から「支持されていない」 取次の収支は公表されており、日販もトーハンも営業損益レベルでは実質的には赤字である。書店もまた多くは「苦しい、苦しい」の連呼である。では、業界三者の最後、出版社がもうかっているかといえば、経済産業省の特定サービス産業実態調査に従えば、近年はやはりこちらも赤字である。もちろん、個々の企業の凹凸はあるが、総体として主業だけでは「赤字」なのである。つまり、業界として一般から「

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    amy385 2018/08/20
  • 出版業界は沈みゆく泥舟なのか

    まるで沈みゆく泥舟のようではないか、と思う。日の出版業界のことだ。 このコラムは毎月、基的に月初に公開することにしている。毎月更新される小田光雄氏の「出版状況クロニクル」や、ジュンク堂書店の福嶋聡氏の「屋とコンピュータ」といったコラムを意識しつつ書いているのだが、これまではできるだけポジティブな話題を見つけるようにしてきた。でも今月はどうしても筆が進まず、公開が週をまたいでしまった。いまだに何を書いてよいやら、という諦めのような境地にさえなっている。 「文字もの」電子書籍は未だに紙の4% そうした思いを抱いた理由の一つは、先月に相次いで公開された出版市場統計である。 まず、インプレス総合研究所から2017年の日電子書籍と電子雑誌の市場規模が発表された。同研究所の調査によると、昨年の電子書籍市場規模は前年比13.4%増の2241億円、電子雑誌市場規模は前年比4.3%増の315億円。

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    amy385 2018/08/06
  • 書誌情報の「脱アマゾン依存」を!

    去る8月25日、図書館蔵書検索サービス「カーリル」のブログに掲載された「サービスに関する重要なお知らせ」を読んで、驚いた人は多いと思う。この日のブログにこのような一節があったからだ。 カーリルでは、Amazon.com, Inc.が保有する豊富な書誌情報(のデータベース)をAmazonアソシエイト契約に基づき活用することにより、利便性の高い検索サービスを実現してきました。現在、Amazon.comよりカーリルとのAmazonアソシエイト契約が終了する可能性を示唆されているため対応を進めています。 Amazonアソシエイト契約の終了は現時点で決定事項ではございませんが、カーリルではこの機会に、Amazonのデータを主体としたサービスの提供を終了し、オープンな情報源に切り替える方針を決定しました。現在、新しい情報検索基盤の構築を進めておりますが、状況によっては一時的にサービスを中断する可能性

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    amy385 2017/09/02
  • 1円ライターから見た、キュレーションサイト「炎上」の現場(コグチスミカ) « マガジン航[kɔː]

    はじめまして。コグチスミカです。普段は別名義で、小説家、ライターとしてほそぼそと活動しています。現在、1歳児の子育てに奔走中の主婦です。 今回、どうしてもこの件について書かずにはおれず、だれかに知ってほしくて筆を取りました。 この記事を読んだ友人知人は、私がだれだか気づくかも知れませんが、どうか言及しないでいただきたいのです。あなたたちに正体がバレることはなんの問題もなく、むしろ喜ばしくすらあるのですが、クライアントにバレたら失職するかもしれないのです! キュレーションサイト「炎上」を生き延びたライターとして 2016年11月末、DeNAの運営する医療情報サイト「WELQ(ウェルク)」が、炎上し、公開停止しました。例えば「胃痛 原因」などのキーワードで検索すると、Google検索で必ず上位に表示されていた大手のサイトでした。ですが、その記事の内容は、私たちのような単価の低いライターによって

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    amy385 2016/12/10
  • 「出版不況論」をめぐる議論の混乱について

    毎月1日にリリースされる、小田光雄さんの「出版状況クロニクル」というウェブ記事を楽しみにしている出版関係者は多いと思う。私もその一人である。これを読まずにはひと月が始まらない。毎月かならず読んでいる。 小田さんが書かれた『出版社と書店はいかにして消えていくか〜近代出版流通システムの終焉』はのちに論創社から復刊されたが、私は1999年にぱる出版からでた版で読み、大きな衝撃を受けた。1999年といえばまだアマゾンが日に進出する前の時期である。日の出版業界が抱えた構造的な問題をロードサイドビジネスや郊外社会論とからめて分析し、彼が名付けた「近代出版流通システム」がもはや機能不全を起こしている事実を、この時期にいちはやく伝えた小田さんの功績はとても大きい。 小田さんはその後、論創社のサイトで「出版状況クロニクル」という定点観測コラムを始め、それは『出版状況クロニクル』という単行としてまとめら

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    amy385 2016/05/02
  • 名物ラノベ編集者・三木一馬氏はなぜ独立したか

    現在、ラノベ=ライトノベルは国内の書籍市場においても大きなシェアを占めており、アニメ化・ゲーム化などのメディアミックスも盛んで、海外のファンからも支持を集めている。そんななかでKADOKAWAが擁する国内最大級のラノベレーベルが「電撃文庫」だ。その編集長を務めていた三木一馬氏がエージェント会社を立ち上げ、4月1日に独立した。その狙いやそこにある思いを独占インタビューで聞いた。 作品に寄り添って「媒体」を編集する 「正直管理職が向いていないなという感覚はずいぶん前からあったのですが(笑)、辞めたいという気持ちからの独立では全くないんです」と三木氏はいう。三木氏の今回の決断に大きな影響を与えた人物が三名いるそうだ。一人は、「マガジン航」の読者であれば注目している人物であろうコルクの佐渡島庸平氏。もう一人は、アニメプロデュース会社のジェンコから独立した、エッグファームの大澤信博氏。そして最後の一

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    amy385 2016/04/08
  • 私設雑誌アーカイブ『大宅文庫』の危機【後編】

    京王線・八幡山駅で下車し、左手に都立松沢病院の蒼とした木立を眺めながら大宅文庫(公益財団法人・大宅壮一文庫)へと向かう。この道を、いつも一人で、しかも、複雑な心理状態で歩いていた記憶がよみがえる――。 サラリーマン編集者をしていた20〜30代の頃だ。ある時は、予定していた取材先だけではページが埋まらず、締め切りが迫る中、急遽、ネタを探し直さねばならず焦っていた。またある時は、企画会議の直前だというのに手持ちのネタがなく、急ごしらえであろうが企画をひねり出さなくてはという不安に押しつぶされそうになっていた。そして資料を漁り終えると、一目散で編集部に戻らなければならない。街を眺める余裕すらなかった。何度も通った八幡山なのに、自分はこの街のことをほんとんど知らないことに気がついた。 大宅文庫に「行く人」と「行かない人」 実を言うと、今回、正式な取材の申し込みをする前、誌「マガジン航」の編集・

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    amy385 2015/09/10
  • 私設雑誌アーカイブ「大宅文庫」の危機【前編】

    「知らなかった、大宅文庫が経営の危機にあることを」――。 8月8日、このような一文から始まる書き込みをFacebookにアップした。すると瞬く間に「拡散」され、5日後には「いいね!」が497人、「シェア」が276件。Facebookと連動させているTwitterのほうは、「リツイート」が674件、「お気に入り」が272件……。正直、驚いた。こんなに話題になるとは思ってもいなかった。その一方で、「みんな当に大宅文庫に関心があるの?」と訝る気持ちも生まれてきた。 公益財団法人・大宅壮一文庫(以下、大宅文庫)は、東京都世田谷八幡山にある雑誌専門の私設図書館だ。その名の通り、ノンフィクション作家で評論家の大宅壮一(1900〜1970年)が蒐集した膨大な雑誌資料が元になっている。大宅壮一といえば「一億総白痴化 」や「駅弁大学」「男の顔は履歴書である」といった名言・語録でも知られているが、「は読む

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    amy385 2015/08/27
  • 大学は《自由》だから息苦しい

    なんとも溜息の出るを読んでしまった。 近代日文学を専門とする名古屋大学准教授の日比嘉高『いま、大学で何が起こっているのか』(ひつじ書房、2015・5)は、文部科学省を中心に大学改革の名で現在唱えられている、文学部の縮小・廃止政策や人文社会系不要論に対して、社会全体の自由と多様性の観点から危機感を表明する警世の書である。もとは日比のブログで発表されたものだ。 溜息の原因は、文系学問に対してほとんど敬意のない文科省やその主張を後押しする世の空気感を改めて確認したことも当然ある。ただ、それ以上にがっかりしてしまうのは、『いま、大学で何が起こっているのか』というが、好意的に書けば正論すぎて、率直に書けばフツーすぎて、単純にツマラナイということにある。 急いで断っておかねばならない。私は在野(大学に所属しない)研究者である。それ故、「ツマラナイ」などと書くと、官学者のものなどポジショニング的に

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    amy385 2015/07/16
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