吉報は最後まで届かなかった。 福岡・大分両県の境に人口2000人の村、東峰村がある。この村を走り、少なからず住民の生活を支えてきたJR日田彦山線が豪雨災害で不通となってから3年余り。今年5月に出た結論は「鉄道での復旧を断念し、線路跡はバス専用道にする」──。1000日以上、列車を迎え入れることも出発を見送ることもできない筑前岩屋駅のホームは、すっかり草がむし、枕木も目を凝らさねば見えない状況になっている。 東峰村の渋谷博昭村長は顔を曇らせる。「日田彦山線は村に住む高校生にとって重要な通学の足になってきた。鉄道を使って、福岡県久留米市や隣接する大分県日田市などに通う学生が多かった。バスへの転換が決まったことで、人口減少に一層、歯止めがかからなくなるかもしれない」 九州の田舎で起きた特別な事例か 果たしてこの事例は、九州の田舎の特別な例だと言い切れるだろうか。 「線路をどこまで、いつまで続ける