連合艦隊を率いた東郷平八郎司令長官。幕末維新の薩英戦争、戊辰戦争以来の歴戦の勇士だった。国立国会図書館所蔵 この記事の写真をすべて見る 日露戦争・日本海海戦は世界の海戦史上でも例のない完勝だった。それは徹底した砲撃訓練戦術の研究、火薬や信管の開発など入念で周到な準備に支えられた連合艦隊がもたらしたものだ。世界が驚嘆した日本海海戦における日本の秘策を4回にわたって解説する。1回目は「VSバルチック艦隊」。(『歴史道』Vol.33「日清・日露戦争史」より) 【図解】先行きに絶望して自殺者も…バルチック艦隊の航海図 VSバルチック艦隊 ジノヴィ・ロジェストヴェンスキー中将率いるロシアの第二太平洋艦隊(通称バルチック艦隊)が、バルト海に面したリバウを出航したのは明治三十七年(1904)十月十五日の朝であった。目指す極東のウラジオストクまでは約1万6400カイリ、3万㎞余の大航海である。 皇帝ニコラ