「イノベーション」というと、何かものすごい発明とか、誰もが無理と思っていた画期的な機能とか、そういったものを思い浮かべがちだが、かつてシュンペーターがイノベーションに与えた定義は、簡単にいえば「生産要素の新結合」だった。こう書くと、そういうすごいものばかりでもなさそう、と思えてくる。ちょっとした工夫もイノベーションだし、すでにあるものをうまく組み合わせるような開発もイノベーションにあたる場合があるかもしれない。 2007年のネット業界は「動画の年」だったといってもおかしくなかろう。中でも、これまでアメリカのYouTubeが一人勝ちしてきた動画共有サービスの分野で、2006年12月からサービスを開始した日本発の「ニコニコ動画」は、2008年1月にはID登録者数500万人を突破する等、大きな注目を集めた。しかしこれは、単なる新たなネットサービスの登場、という範疇ではくくれない重要な意味を持って