コロンビア1989 PARTE 1 世紀の麻薬王パブロ・エスコバルに牛耳られ、殺人都市と化したメデジン。一方、エスコバルは貧民を救い、病院や学校を建て、フットボールを支援した。 麻薬王のクラブ、ナシオナル・メデジンは国内の精鋭を集結させ、監督経験わずか3年のフランシスコ・マツラナが世界最先端の戦術を導入。コパ・リベルタドーレス初制覇を遂げ、そのナシオナルの選手を中心としたコロンビア代表を28年ぶりのワールドカップへ導く。 1989年、コロンビアのフットボールは「独立」を果たした。 死の影を纏いながら、どこまでも快楽的なスタイルは唯一無二――わずか5年あまりで消滅する史上希有なチームの足跡をたどる物語。 「ごるっ……」 この呟きとともに、1発目の弾丸が発射された。 パンッ、パンッ。続いて2発。この時点でバーにいた客2人は銃声だと気づいた。 「ゴルッ、ゴル」 すでに倒れている男の体に、もう2発