■忘れられないおばさんの言葉 〈連載「母への詫び状」第二十二回〉 介護施設には、良い面もあれば、もちろん良くない面もある。以下は認知症の父親を特養に預けた男性の語りです。自分の親を施設に入れること。経験した者しか知り得ない現実を話してもらいました。今回の語り部はAさん。家庭や子供を持ち、認知症のお父さんは施設に預ける選択肢しかなかったと語るビジネスマンです。一部に偏見とも思える表現や登場人物が出てきますが、Aさん自身は介護施設への不平や不満を口にしているわけではないことに留意しながら、お読みください。 * * * 「施設に入れるとね、命を縮めることになるんだよ」 これは私のおばさんの言葉です。いつも、繰り返し言ってました。おばさんは田舎によくいる世話焼きの専業主婦で、介護の経験も豊富。義理の親から親戚の面倒まで全部、自分で見るような人でした。 そんな人が「命を縮める」なんて言い方をするもの