かなり昔の話だが、まだ大学院生だった頃、友人から「そっちに居る霊能者におふくろがハマっている。色々心配なのだが、どんな相手かなにかわからないか?」と言われたので、当時、好奇心だけで生きていた私は、何のリスクも感じず速攻でそこを訪ねてみた。まあ、単純すぎたのだなと今は思う。通っていた道場も、微妙な領域の人の出入りには事欠かなかったし、霊山にあった大学の研究所の常駐の先生は、退官直前、新興宗教に嵌っていて、私が行くと週末はいつも里に下りてそこで駐車場整理しているみたいな状況で、自分を破滅させる可能性のある領域とは、あまり思っていなかったのかもしれない。ある意味でオウム以前の話。 電話をしてドアをくぐった瞬間その霊能おばさまは警戒心を露わにしていた。あとで話を聞くと、それは意外な理由であった。入ってきた瞬間「同業者」だと思ったらしい。私が何かを発散させていたのか、特に年齢不詳で怪しい雰囲気があっ