住む場所にコストをかける理由 速水 健朗(以下、速水):なんだこれ。ただの変態による個人的な趣味嗜好のハナシかよ……そう思ったんですよ。 中川 淳一郎(以下、中川):えっ? 速水:中川さんの『節約する人に貧しい人はいない。』を読んで、最初はそう感じたんです。だって、可処分所得は高いのに「服にまったく頓着しない」「時計や靴にカネをかけるのはバカ」「東京で暮らすならクルマを持つなんて無意味」といった調子で、いかにおカネをかけないで暮らすかを説いている。“家賃は収入の30%が目安”みたいな言説に踊らされるな、とかね。カネを持っても金銭感覚や暮らしぶりは貧しかったころのまま一定に保って、節約を旨とすべし。そのほうが何事もラクチンだよ、と。 中川:そうですね。 速水:一読したとき、「そんな超人思想、なかなか真似できないよなぁ」と思った。ただ、読み終えて反すうしてみると、次第にジワジワきて。で、読み返