新潮社のサイトでは「人生論ノート」は「大哲学者が説く、私たちの生き方指南。」と紹介されているが、あまり「生き方」を教えてくれるような本ではないように思う。 人生論というよりは、物事の見方や受け止め方、考え方のヒントをくれるような本なので、いっそのこと「考えるヒント」と改題しても通るのではないか。 では前回の続きで第七位。 感傷は制作的でなくて鑑賞的である。しかし私は感傷によつて何を鑑賞するのであらうか。物の中に入らないで私は物を鑑賞し得るであらうか。感傷において私は物を味つてゐるのでなく自分自身を味つてゐるのである。いな、正確にいふと、私は自分自身を味つてゐるのでさへなく、ただ感傷そのものを味つてゐるのである。(感傷について) たとえば短歌を作ると、すぐに感傷的な方向へと傾く癖のついている人がいて、何でもそういう色に染めてしまう。自分自身と同じくらい感傷は扱いにくい。 第六位。 風采や氣質
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